休日だというのに、昨日からから断続的に雨が振っている。今年のキンモクセイはこれで終わりかもしれない。
普段はその存在さえ気がつかない地味な樹なのに、この季節になると、どの街角にもキンモクセイの香りが満ちている。
なんとなく甘く悲しい香りだ。
「キンモクセイの香りがするとと、大学を受験する準備のために静岡から東京に出てきたときのことを思い出すんだ。」という、古い友人の、ひと言がなぜか毎年この花の季節になると思い出される。
何かの話のついでに、何気なく語られたひと言で、しかもそれが語られたのは私たちが学生だった30数年前のことだった。その数年後に友人は亡くなっている。
高校3年のときに柔道の練習中に大怪我をし、1年間を病床で過ごしたという彼の、東京に出てくるという、そのときの思いというものは、どんなものだったのだろうか。もっといろいろなことを、もっと詳しく聞いておかば良かったとおもう。
思い出を語った本人は遠い昔に亡くなったのに、その「思い出」だけがキンモクセイの香りとともに浮遊して毎年この季節になると私の元に届く。
この花の香りは、なんとなく甘く悲しい。
2005年10月アーカイブ
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